国際ジャーナリスト 大野和基
著書・訳書

月刊Voice 2013年4月号
トニー・マラーノ/Tony Marano
“テキサス親父” トニー・マラーノ、慰安婦像を叱る
トニー・マラーノ(評論家)


「反日ロビー」と戦う米国人評論家が、いま日本に伝えたいこと


動画サイトで「文化の衝突」を目の当たりに

大野 トニー・マラーノさんはYoutubeやニコニコ動画といった動画投稿サイトを通じて、アメリカや東アジアの歴史・政治問題について意見を発信する活動をされています。そのフランクで軽快な語り口から、日本では「テキサス親父」というニックネームで親しまれていますね。最初に、マラーノさんのご経歴についてお聞かせください。

マラーノ 私は30年間、電話会社・AT&Tの子会社に勤務し、2006年に退職しました。大学では歴史学を専攻し、そのときに日本の歴史に関心をもちました。父は第二次世界大戦の際、海兵隊の兵士として従軍しましたが、南太平洋で飛行機の修理をしていたので、おそらく誰も殺していません。ですから、あなたは日本人ですが私を責めないでください。(笑)

父が戦争から帰還したとき、日本人や日本の軍隊についていっさい悪いことを口にしないどころか、尊敬の念を抱いていたくらいです。父からそうした話を直接聞いていたので、私も日本人に対してまったく憎悪の感情はありません。むしろ、自分たちの国を廃墟から経済大国にまで立て直したことに対して、畏敬の念を抱いています。日本にはアメリカのような広大な土地がないし、天然資源もない。ですから、日本が立ち直ったことは、国民の力にほかなりません。それは本当に誇るべきことです。

大野 歴史を専攻したことが日本の歴史に関心をもったきっかけということですが、もっと明確に日本のことを気にかけるようになったタイミングはありますか。

マラーノ 06年にAT&Tを退職した際、地元紙『ダラス・モーニング・ニュース』で、反捕鯨団体のシー・シェパードが日本の捕鯨船に嫌がらせをしている記事を目にしました。いままで私は、日本の捕鯨についてあまり深く考えたことがありませんでしたが、その記事を読んだとき「ちょっと待てよ。日本は多くの島から成り、その島に住む人たちは食料を海から獲っている。アジアに乗り込んで『これを食べてはいけない』と口出しするこの西洋人たちは、いったい何なんだ」と疑問に思いました。西洋人が日本に干渉をしていることに対し、激しい怒りの感情が湧いてきたのです。歴史上、西洋諸国は恐ろしい帝国主義的な支配をアジアで行なってきた。そしていま、この愚か者たちが、形を変えた帝国主義を掲げてアジアに戻ってきたのです。私はこれを〝culinary imperialism(食の帝国主義)〟と呼んでいます。

そこで私はシー・シェパードを批判する動画をネットにアップロードしました。そのビデオは日本で話題になったようですが、当初はその反響を知らず、私はさらにリサーチして次から次へと動画をアップし続けました。私の動画には反捕鯨団体からのコメントが数多く寄せられましたが、非常に卑劣な内容で、罵倒ともいえるものでした。

一方そうした罵倒に対して、英語が書ける日本人視聴者が、丁寧ながら毅然とした態度で再反論をしてくれたのです。私はまさにそのとき、二つの文化の衝突を目の当たりにしました。西洋文化はがさつで品がありませんが、日本文化は丁寧で礼儀正しい。それでいて自分の立場をしっかりと弁護していたのです。

そうこうしているうちに、早稲田大学の学生から日本史についての長い資料が送られてきました。その資料から、日本の歴史について多くのことを学ぶようになったのです。同時に自分の動画が日本で注目されていることを知りました。

やがて日本の出版社(飛鳥新社)から、DVD付きの本を執筆するよう依頼がありました。いままで本を書いたことがなかったので、完成までに1年かかりましたが、担当編集者は忍耐強く待ってくれた。日本のビジネスのやり方が立派なものであると実感しました。こうして2010年春、初の著書『テキサス親父演説集』が発売されました。

同年の終わりにはワシントンDC在住の日本人男性から連絡があり、日本の保守派の団体が私を日本に招く意向があると伝えられました。その男性とスカイプ(インターネット電話)で話をするなかで、慰安婦問題について日本でも意見が分かれていることを知りました。いわば内輪もめのようなものです。私は「そうしたいざこざがあるのなら、私が日本に行かないほうがいいのではないか」と伝えたのですが、最終的には説得されました。そこで2011年5月に初めて訪日したのです。

>>続きは「PHP Biz Online 衆知」で掲載中です。

トニー・マラーノ (Tony Marano)
評論家
1949年、米コネティカット州生まれ。生後間もなくニューヨーク・ブルックリンに移る。両親はイタリアからの移民二世。ニューヨーク市立大学卒(専攻は歴史学)。電話会社AT&Tの子会社New York Telephone Companyに30年間勤務し、2006年に退職。現在はテキサス州在住。

>>Propaganda Buster
>>テキサス親父公式サイト

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