国際ジャーナリスト 大野和基
著書・訳書

月刊Voice 2009年2月号
ジム・ロジャーズ/Jim Rogers
特別企画「オバマの米国」は立ち直るか
もう甦らないアメリカ経済
安易な企業救済に走る当局の無能


金融危機はまだまだ続く

現在起きている危機には、金融危機と経済危機の二種類かあります。まず、金融危機はまだまだ続きます。経済危機に至っては、さらに長く続くかもしれません。通常は経済が底を突く前に市場が底を突きますが、今回もそうなると思います。にもかかわらず、世界中の政治家たちは間違いをしつづけ、状況はますます悪化しています。

ご存じのように、1930年代に起こった大恐慌は、初めはたんなる株式市場のバブル崩壊でした。そこから景気後退(リセッション)が起こりましたが、そのとき世界中の政治家は次から次へと間違いを犯し、大恐慌を招いたのです。現在のように政治家が間違いつづけるかぎり2009年に景気が回復することはありません。まだまだ長い道のりがあります。われわれはいま、政治家が何をするか、静観するしかありません。

今回の危機を受け、最近よく「投資銀行のピジネスモデルは終わった」という人がいます。しかしそれは正しくありません。たしかに投資銀行は多くの間違いを犯し、その結果、ベアー・スターンズもリーマン・ブラザーズも破綻しましたが、しかるべき人たちかビジネスモデルを適切に実行していれば、何の問題もなかったのです。事実、世界中の投資銀行をみても、過ちを犯さず、困窮していないところはたくさんある。問題はビジネスモデルではなく、投資銀行を運営する人問のほうなのです。

彼らはどういう間違いを犯したのでしょうか。世界中には「理論上のおとぎの国」はたくさんありますが、正しい実行方法を知らないと失敗します。たとえば私は100メートル走を非常に速く走る方法を説明することはできますが、実際にはそれほど速く走ることはできません。どのように走るべきか完全に理解していても、世界記録を打ち立てることはできません。成功しようと思えば、実行ができなければならないのです。

投資銀行はサブプライムなど多くのモーゲージ‘不動産を担保にした貸付)のところに楽に儲かるお金があると勘違いし、その前提で理論を組み立てたのです。初めはモーゲージ証券を使ってまともなビジネスを行なっていたのですか、あまりにも楽をしすぎて、質がどんどん落ちていきました。だからその対象をどんどん拡大していったのです。

彼らがやっていたことは、自分のためにできるだけお金を稼ぐということだけで、ほとんどの会社は投資銀行がいったい何をしているか、よく理解していませんでした。彼らはそのまま狂ったように拡大路線を走り、最終的にはそのシステム全体が崩壊したのです。

投資銀行だけでなく、証券化もよく批判の対象に上ります。しかし、投資銀行の場合と同じく、健全なやり方がとられていれば、証券化には何の問題もありませんでした。






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