国際ジャーナリスト 大野和基
著書・訳書

2014年5月
尖閣を第二のサラエボにするな
混沌化する欧州、ロシアの行方は?日中の対立をどう解決すべきか?
フランス歴代政権のアドバイザーが語る。


ドル崩壊のリスク

- 1999年に統一通貨ユーロができたとき、ギリシャやスペインなどの経済危機は予測できたのでしょうか。

アタリ 現在、ギリシャやスペインだけでなく、ヨーロッパ全体が危機状態ですが、ユーロの誕生時、私が予測したのは、ヨーロッパは連邦国家への移行段階にすぎないということです。われわれが関税同盟としての共同市場をつくったとき、それが非関税障壁の撤廃を含む単一市場に進化しないかぎり、機能しないことはわかっていました。共同市場は国境や技術、税制などの非関税障壁を取り外すことを意味しないからです。案の定、ヨーロッパで非関税障壁をめぐる対立と危機が1983年、1984年に起こりました。

ところが、単一市場を構築したときには、今度は平価切り下げ競争という、もう一つの危機が生じた。したがってあの時点で、統一通貨に移行しなければならないことはわかっていました。しかしフェデラリズム(連邦主義)を通してさらなる統合へと移行しないかぎり、統一通貨は維持できない。統一通貨は連邦国家の制度、財務省、ユーロ債をもつ能力がないと、もちこたえられない制度なのです。ですから、ヨーロッパにさらなる統合の必要性があることは確信していました。

- あなたは近著『危機とサバイバル-21世紀を生き抜くための(7つの原則)』(作品社) のなかで、「実質的にアメリカは財政破綻している」と書いています。先進国のなかで唯一、少子高齢化を免れているアメリカの経済的繁栄は今後も続くという見方もありますが、どう思いますか。

アタリ 仮にアメリカは財政破綻しても、生き残る手段と能力があると思います。際限なく紙幣を印刷するキャパシティがあるからです。これは他の国にはない能力です。また、アメリカは少子化問題に直面していないのに、移民を多く受け入れている。それが大きなチャンスを生み出しています。

フランスは出生率が高い国で、ほかにヨーロッパで高いのはアイルランドくらいです。しかし、アメリカのように紙幣を印刷するキャパシティがありません。当分のあいだ、アメリカの将来について悲観する必要はないでしょう。






ジャック・アタリ(経済学者)
1943年生まれ。わずか38歳で、フランスのミッテラン政権の大統領特別補佐官を務めて注目を浴びる。91年、自らが提唱した「ヨーロッパ復興開発銀行」の初代総裁を務めた。サルコジ、オランドと歴代仏大統領のアドバイザーとして、基本政策への提言を行なう。

国家債務危機 21世紀の歴史
国家債務危機
―ソブリン・クライシスに、
  いかに対処すべきか?

ジャック・アタリ (著)、林昌宏 (翻訳)
作品社
2011/1/8
21世紀の歴史
―未来の人類から見た世界

ジャック・アタリ (著)、林昌宏 (翻訳)
作品社
2008/8/30
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